サイバー攻撃は年々高度化し、それに対抗するためのセキュリティ対策にも新たな手法が続々と生み出されています。
その中の一つに、近年耳にする機会の増えたセキュリティの手法に「サンドボックス」があります。
本記事ではこのサンドボックスについて、その概要やメリット・デメリットについてご紹介します。
サンドボックスとは?
ITにおけるサンドボックス(sandbox)とは、コンピューター、システム環境下に設けられた他のシステム領域と隔離された「仮想環境」のことを指します。
この仮想環境は、実際のコンピューター、システム環境を模した疑似環境となっており、この疑似環境下でマルウェアなどの脅威の分析を行うツールになります。
なぜサンドボックスが重視されるのか?
近年、サイバー攻撃が高度化され、特定の組織・企業にターゲットを絞った標的型攻撃による被害が深刻化してきています。
近年の攻撃はできるだけ高い確率でターゲットに侵入できるよう、極めて高度かつ複雑な手法が用いられ、従来型のセキュリティ対策では、このような未知の攻撃を防ぐことが難しくなっています。
このような環境下の中、疑わしいプログラムやファイルの動作や振る舞いを仮想環境内で評価することで脅威を検知できるため、このサンドボックスを活用が重視されるようになりました。
サンドボックスのメリット/デメリット
次に、サンドボックスを導入することで得られるメリットとデメリットについて説明します。
サンドボックスを導入するメリット
未知のマルウェアへの対策に有効
サンドボックスは従来のパターンマッチングに頼ることなく、仮想環境内で実際にプログラムを動作させてその挙動をチェックする方式です。
そのため、これまで誰にも知られることがなかった未知のマルウェアであっても、効果的に検知することができるようになります。
ツール導入がしやすい
セキュリティ製品の中には、導入のために社内ネットワークの構成を大幅に変更する必要があるものがありますが、サンドボックスの製品はネットワーク構成に変更を加えることなく、比較的容易に導入できるものが多いです。
サンドボックスを導入した場合のデメリット
導入・運用にコスト多くかかる
サンドボックス製品は、導入に一般的に数百万円から、高価なものだと1000万円以上かかるものもあります。またその扱いには専門的な知見を要するため、導入後に適切に運用するためには一定以上のスキルが必要が必要となり、場合によっては専任の人材を確保する必要が出てきます。
また、デメリットではありませんが、サンドボックスを検知するマルウェアなどがあるため、サンドボックスを導入しただけでは、完全な対応にはならない点を注意しなくてはなりません。
なので、企業におけるセキュリティ対策は、エンドポイントでのマルウェアの水際でのブロック、VPNなどの安全な通信の確保、あるいはIPS/IDSなどによりマルウェアの侵入経路のブロックなど、いくつかの技術を組み合わせてセキュリティ対策することが重要となります。
まとめ
サンドボックスの概要ならびにそのメリット、デメリットについて解説してきました。
サンドボックスは、高度なサイバー攻撃に対応可能な有用性の高いセキュリティとして今後も普及が見込まれます。
しかし、マルウェアを100%防げるものではないため、既存のセキュリティや物理的な認証などと組み合わせ、総合的なサイバー攻撃対策を行っていくことが重要です。
最後に
セキュリティに関する記事や、情シスのキャリアやビジネスススキルに関する記事もありますので、ご興味あればご参照ください。
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