はじめに
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前回の「【情シス担当者必見】 電子帳簿保存法改正内容とシステム対応の進め方」では法令改正の内容とシステム導入の進め方を説明しました。今回はシステム導入の考え方をもう少し詳しく進めていきたいと思います。
システム化スコープを絞る
システム導入時の検討ポイントは何か。業務要件をしっかり把握するこれにつきます。
具体的には、「なんの書類を電子化」し、「システムでどこまで業務を自動化するのか」になります。
これを検討する際に、何が「MUST要件」で、何が「WANT要件」になるのかしっかり見極めながらコントールする必要があります。
この電子帳簿保存法改正対応に関していうと「MUST要件」は「法令対応」となり、「WANT要件」は請求、経費精算に伴い発生する一連作業の効率化/コスト削減になります。
※もちろん、企業によっては、コスト削減が事業環境上必要となればMUST要件の範囲がもっと広くなるかとおもいますが、そういった事情はここではいったん除外します。
対象書類の洗い出しにMust要件とWant要件と照らし合わせてみると、厳格化される電子取引で発生する国税関係書類データの保存がMust要件となり、それ以外の書類、帳簿の電子化はWANT要件になります。
続いて、「システムでどこまで業務を自動化するのか」ですが、国税関係書類の発送の場合は、「作成→発送→控え管理」、受領の場合は「書類受領→支払い処理→原本管理」の流れになり、MUST要件は「控えの管理」と「原本管理」の箇所となり、それ以外はWANT要件になります。
書き出すと当たり前のことなんですが、システム導入の企画フェーズが進まないケースでよくあるのが、このMUSTとWANTが区別できておらず、話しがまとまらないといったケースです。
なので、MUST、WANT要件を意識して(自分たちでも予測をたてて)、話し合いをし、まずは最低限の要件スコープを明確にしていくことで、次に対応するシステム選定の有益なインプットになります。
システム選定を行う
業務スコープの整理結果をもとにシステム選定を行います。ここでは業務スコープの整理結果で
MUST要件にはいった要件を実現できるシステムを選ぶということが最終目的になります。
要件にあったシステム候補を見つける
例えば、上記の例で「電子取引で発生した書類データの保存」をスコープにいれていた場合は、システム上で、管理において真実性と可視性が担保されているシステムを選べばよいです。
一方で、「電子取引で発生した書類データの保存」と「請求書作成の自動化」までをスコープにいれた場合は、管理機能に加え、帳票作成においても要件を満たしたシステムを選ぶ必要があります。
管理においては、JIIMAにおける「電子書類ソフト法的要件認証制度」で認証を受けている「関係書類」だけを保存する機能がある電子帳簿ソフトを選らべばいいのですが、「管理+作成」を求めるのであれば、「電子書類ソフト法的要件認証制度」で認証を受けている「帳簿作成・保存する会計パッケージ」を導入する必要があります。
市版の製品においては、以下の弥生会計の「MISOCA」,「マネーフォワード クラウド」はともにJIIMAの認証を受けている会計システムとなります。もし、迷われているならおススメします。
クラウド会計ソフト「マネーフォワード」
自社で独自に開発するのか/市販のものを利用するのか
IT導入などの教科書では、候補製品を見つける前に、自社開発か市販を利用するのかを検討することが多いと思いますが、過去の経験からまずは候補製品をみつけてコスト、効果等を試算した後のほうが、自社で開発するか否かの決定がしやすかったため、このタイミングで決めています。
記載されている内容通り、このタイミングで要件適用度、費用、効果の点で自社開発か、市販のパッケージを導入するのかを決めます。
以上のようにシステム導入といっても、システムありきではなく、要件の整理を事業担当者と揃えられれば、システム製品選定はそこまで大変ではなくなるのと思います。
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電子帳簿保存法と関連してインボイス制度の変更もあります。インボイス制度の対応については、【情シス担当者必見!】インボイス制度の説明と導入時のシステム選定の注意点をご参照ください。