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電子帳簿保存法の改正等、近年、デジタル化が進むにあたり文書管理のシステム化が注目をあつめています。
紙の文書や電子文書を一元管理する「文書管理システム」は文書の検索にかかる手間をなくし、更新や共有がしやすくなり、ペーパーレスによるコスト削減などのメリットがあります。
本記事では、営業資料や契約書といった社内の様々な文書を適切かつ効率的に管理したいと考えている方へ、文書管理システムの「概要」、「主要機能」、「導入メリット/デメリット」、「製品タイプと選定方法」、「システム比較ポイント」について解説していきます。
文書管理システムとは?
文書管理システムとは、「Word」や「Excel]等で作成した文書や、電子化されたドキュメントを格納し、「保管・保存」、「活用」、「廃棄」という文書ライフサイクルを、システム上で一元管理できるシステムのことです。
文書管理システムを導入すれば、必要な文書の保管・保存が簡単になることに加え、必要な時に情報を取り出せるようになるため、情報共有が効率化します。
また、文書の種類によって、セキュリティレベルや保管期間を定めて管理できるようになります。
セキュリティ強度を保ったまま、いつでもどこにいても、すぐに取り出して利用できるようになるというのがこの文書管理システムの特徴であり、活用の最大のメリットになります。
これまでの文書管理における課題
近年注目を集めているこの文書管理システムの機能やメリットをお伝えする前に、従前、紙文書の管理における課題について説明します。
紙文書の管理においては以下の4点で課題がありました。そして、この4つの課題へ対応できるという点で、文書管理システムが注目されるようになりました。
- 文書を探すのに時間がかかり作業効率が低下してしまう
- 機密文書の紛失や個人情報漏洩などリスクがある
- 文書の耐久性や復旧性にリスクがある
- 紙文書の保管と管理にコストがかかってしまう
文書を探すのに時間がかかり作業効率が低下してしまう
紙媒体の文書は、保管場所を間違える等が発生するため、「探す」ことに時間と手間がかかります。必要な文書をすぐ取り出せれば、その時間をほかの重要な業務に費やすことができるのですが、紙で保管する限りこの文書を探すという時間の浪費が発生します。
この積み重なりが、企業にとって生産性向上の大きな妨げになることもあります。また、文書を探し出すことができても、その文書から必要な項目を検索するのも手間がかかります。
デジタルデータと異なり、紙媒体では手作業で探さないとならないため、文書の規模が大きくなるほど、必要な情報の検索にかかる労力は大きくなります。
機密文書の紛失や個人情報漏洩などリスクがある
企業が管理する文書には、顧客の個人情報や機密情報など極めて重要な情報があり、高いレベルのセキュリティが要求されます。
紙媒体で保存した場合、このセキュリティ対策は施錠できるロッカーに保管するなどくらいため、常に紛失と漏洩のリスクが残ってしまいます。
文書の耐久性や復旧性にリスクがある
紙文書は気温や湿度、紫外線などでダメージを受けると劣化します。日本は特に季節による寒暖差が激しいため、紙媒体の文書にとっては過酷な環境となります。
紙文書の破壊は情報の破壊そのものを意味します。紙媒体の文書は、なくなれば情報の復元は不可能であるため、耐久性や復旧性などに大きな課題があります。
紙文書の保管と管理にコストがかかってしまう
紙媒体の文書保管と管理には、文書を保管するための部屋や倉庫、管理するための人員が必要なためコストがかかります。
文書管理システムの主な機能
文書管理システムの主な機能は以下の6つとなります。
- 文書登録機能
- 検索機能
- セキュリティ機能
- ライフサイクル管理機能
- ワークフロー機能
- バージョン管理機能
文書登録機能
文書の属性を設定し、部署や種類ごとに分類・保管する機能です。複数のファイルを1つの文書として登録することができ、関連ファイルがバラバラに保管されていて探しにくい、といった事態を防げます。
文書管理システムの中にはOCR機能を搭載したものもあり、OCR機能を搭載した文書管理システムを導入をした場合、PC上でのテキスト編集や検索が可能になります。
また、このタイミングで導入を検討しているのであれば、2022年1月施行された電子帳簿保存法改正に対応する文書管理システムを導入しておくと便利です。紙の文書をスキャナ保存する際の要件を満たすソフトウェアには、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証マークが付いています。
検索機能
登録した文書を探し出す機能で、文書の内容や登録時に設定したインデックスを参照することで、必要な書類にスムーズにアクセスできます。
具体的な検索方法には、「全文検索」、「完全一致検索」、「あいまい検索」、「タグ検索」などが挙げられます。
セキュリティ機能
書類の暗号化やアクセスログの管理などを行う機能です。ユーザーごとにファイルやフォルダへのアクセス権を付与・管理できるため、閲覧制限を設けたい文書がある場合に安心です。
また、社外への流出を防止するため、PDFの印刷や添付ファイルのダウンロードを禁止する機能、文書に透かし文字を入れる機能などが付いたシステムもあります。
ライフサイクル管理機能
文書の発生から伝達、保管、保存、廃棄という一連の流れを管理する機能です。保管期限が近づいた文書を通知する機能や、更新や削除などの操作を自動化する機能などが挙げられます。
文書の種類によっては法律で保管期限が定められているものもあるため、ライフサイクル管理機能を活用して適切に対応することが大切です。
ワークフロー機能
文書登録時に、ワークフロー機能を使用して電子承認を得るようにできる機能です。
ワークフロー機能を実装することで、誰がいつ承認したかの履歴が記録され、いつでも確認できます。また、文書改訂・廃棄時もすべて履歴が記録されるため、正規な手続きを踏んだ正式な文書として品質を担保できるようになります。
バージョン管理機能
文書の変更や更新があった場合に最新版と旧版を分けて管理する機能です。閲覧時には常に最新版にアクセスでき、誤って旧版を参照する心配がなくなります。
また、トラブル発生時には旧バージョンの文書を確認し、「いつ」「どこで」「誰が」「どんな操作をしたのか」をチェックできるため、内部統制にも効果を見込めます。
文書管理システム導入のメリット/デメリット
文書管理システム導入のメリット
文書管理システムを導入することにより、3つのメリットが見込めます。
- 目的の文書をスムーズに探し出せる
- ナレッジやマニュアルを速やかに社内共有することで、業務効率・生産性が向上する
- 契約書の期限切れ、情報漏洩・改ざん・紛失などのリスクを軽減できる
目的の文書をスムーズに探し出せる
文書管理システムの検索機能により、必要な文書をすぐに見つけられるようになります。タイトルや内容などのテキストデータで検索はもちろん、文書ごとに設定したタグで検索、全文検索やあいまい検索も可能となるため、求めるドキュメントをすぐに検索できます。
ナレッジやマニュアルを速やかに社内共有することで、業務効率・生産性が向上する
文書管理システムを使えば、簡単にデータを共有できるようになります。ワークフロー機能もあるため、必要書類の法務チェックなどの申請や承認も、文書管理システムを通してスムーズに行えるようになり生産性が上がります。
契約書の期限切れ、情報漏洩・改ざん・紛失などのリスクを軽減できる
文書管理システム自体にアクセス制限機能などがあるため、制限を設定することで、システムに文書を保管するだけで安全な状態を保つことができます。
文書管理システム導入のデメリット
文書管理システム導入に伴うデメリットは以下2つとなります。
- システム導入に伴いコストと労力がかかる
- 運用ルールの定期的な見直しが発生する
システム導入に伴いコストと労力がかかる
導入の際に運用ルールなどの設計、導入費用や運用費用、そして全社員が使いこなせるようにするための教育コストがかかります。
運用ルールの定期的な見直しが発生する
システムは導入後に課題や改善点が見つかります。文書管理システムも同様なため、導入後、運用ルールを定期的に見直しが必要になります。
文書管理システムの種類
文書管理システムは様々な種類が存在し、「どんな文書を管理するのか?」、「その文書をどのような目的で管理するのか?」によって、5つのタイプに分けられます。
- 社内文書全般を保管し活用するタイプ
- 社内文書全般の作成~保管、共有するタイプ
- 契約書を保管し活用するタイプ
- 契約書の作成~保管、共有するタイプ
- 社外メンバーを含めた利用を想定しているタイプ
社内文書全般を保管し活用するタイプ
「文書の種類を問わず、全般的に適切に保管したい」という場合におすすめです。
例えば、、社内規定・報告書・稟議書などの社内文書の共有、その他、社内プロジェクトでの共同作業、テレワーク時の文書の取得などが考えられます。
社内文書全般の作成~保管、共有するタイプ
文書を保管するだけでなく、その前段階である「作成も効率化したい」という場合におすすめです。
「埋もれている営業ナレッジを言語化して社内共有したい」「業務マニュアルを複数名で作成したい」といったシーンに適しており、複数人での作業の際に、作業の効率化、コミュニケーションの活性化といった効果も期待できます。
契約書を保管し活用するタイプ
「契約書の台帳管理や更新管理を効率化したい」という場合におすすめです。
契約書は更新期限を見落とすだけでも多大な損失を生み出す恐れのある重要な文書です。そのため、他の文書より厳格な運用が求められますが、契約書の更新期限が近づくと通知メールが自動送信される機能があると、期限切れ防止に便利です。
契約書の作成~保管、共有するタイプ
契約書を作成するためには、取引先と自社の間で文書を何度もやりとりする必要があります。締結済みの契約書を保管するだけでなく、「契約書作成も効率化したい」という場合には、こちらがおすすめです。
社外メンバーを含めた利用を想定しているタイプ
「社内に限らず、社外の関係者とも文書を共有したい」という場合におすすめです。
クラウド型のファイル共有サービス(オンラインストレージ)を利用するため、「文書以外にも、画像や動画、アプリケーションなどを共有したい」という場合にも適しています。
文書管理システムのタイプを決める際の選定ポイント
自社に導入目的を鑑みて、2つの観点で自社に合ったタイプを考えてみることをお勧めします。
管理する文書…「社内文書全般」or「(契約書等)一部文書メイン」
管理する目的…「保管、共有のみ」or「作成から共有まで」
なお、社外メンバーを含めた利用を検討している場合は、5のタイプが選択肢となります。
文書管理システム製品の比較ポイント
システム製品を比較検討するためのポイントは4つになります。
- 検索のしやすさ
- 法令や各種制度への対応
- セキュリティ設定・アクセス制限
- ワークフロー管理
検索のしやすさ
文書管理システムを比較検討する上で最も重要なのは、目的の文書にスムーズにアクセスできる検索性の高さです。
文書ごとにカテゴリ分けやタグの付与を行うのが一般的ですが、入力や仕分け作業に手間がかかってしまいます。しかし、文書番号の自動カウントアップ、所属部署や作成者の自動入力など、入力支援機能が充実したシステムなら、これらの作業を効率化できます。
また、文書によって求められる検索性が異なるため、無駄を省くためにも「どのようにカテゴライズするか」「誰がどれくらい入力・仕分けをするのか」の分類と業務フローを検討しておくことも重要です。
製品の中にはOCR機能を搭載しているシステムもあり、OCRがあれば電子化した紙書類も全文検索対象も可能となります。
法令や各種制度への対応
企業や文書の種類によっては、法令や各種制度に沿った文書管理が求められる場合があります。
ISO9001を取得している企業であれば、「適切な識別及び記述」「適切な形式」「保管期間」など、ISOの指針に則った文書管理が必要です。
直近では、電子帳簿保存法が改正されたため、その要件にそった管理ができるか否かがポイントとなります。
セキュリティ設定・アクセス制限
個人情報や機密情報が含まれた文書を取り扱う場合、文書データの奪取や流出による情報漏洩やデータの破損を起こさないための対策が必要です。
「誰が文書にアクセスできるのか」「閲覧だけか編集も可能か」など、文書やユーザーの属性ごとに設定できるものを選ぶと良いです。中には、ダウンロード・印刷を禁止するセキュリティ制御、閲覧・作業履歴を確認できるログ管理機能などを備えたシステムもあります。
ワークフロー管理
契約書・稟議書・申請書など、承認や回覧が必要な社内文書を管理する際に重要な機能です。
承認状況や閲覧履歴が分かるワークフロー機能があれば、どこで書類が滞っているのかをすぐに把握でき、業務の効率化につながります。
まとめ
本記事では、営業資料や契約書といった社内の様々な文書を適切かつ効率的に管理したいと考えている方へ、文書管理システムの「概要」、「主要機能」、「導入メリット/デメリット」、「製品タイプと選定方法」、「システム比較ポイント」について解説していきました。
電子帳簿保存法の改正などをうけて、今後、文書管理のシステム化はより重要になっていくと思われます。これを機に文書管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
最後に
情シスのキャリアや、ビジネススキルに関する記事もありますので、ご興味あればご参照ください。
ビジネススキル関連記事
https://digital-jyoshisu.com/archives/category/ビジネススキル
情シスのキャリア関連記事
https://digital-jyoshisu.com/archives/category/キャリア